サイエンスをテーマにしたノンフィクション作品を数多く手がけている立花隆の代表作の一つです。脳死をめぐる問題に対して、まずは科学的事実を分かりやすく紹介することに務め、その上で従来の脳死判定基準が孕んでいる問題の指摘をおこなっています。
厚生省の「脳死に関する研究班」が1985年にまとめた報告書の判定基準(いわゆる「竹内基準」)の根拠が薄弱であることを指摘し、また、イギリスのパリスに代表される脳幹死基準への反論を提出しています。
著者の議論で、ときおり臨死体験が引き合いに出され、やや奇異な印象を持ってしまいますが、要は「内的意識」の停止を知ることはできず、できるのはせいぜい意識の発現が見られないことを確かめることしかできないのだから、脳機能停止ではなく脳の器質死を基準とするべきというものになるかと思います。
死についての社会的・哲学的議論や、脳の働きについての専門的な議論のいずれにも偏ることなく、ニュートラルな立場からの批判的考察になっており、個人的には非常に説得力があるように感じました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
医療・看護
- 感想投稿日 : 2014年8月26日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年8月26日
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