刊行当時、東京都立大学博士課程に在学していた著者の第一作です。ネット掲示板やブログといったインターネット環境の整備によって生じた新しいコミュニケーションが持つ意味を、社会学的な視点から考察しています。
刊行から10年以上が経った現在では当たり前のことでも、刊行当時にはていねいに解説する必要があったのかもしれませんが、具体的な技術や事例の紹介や解説に多くのページが割かれていて、それらがもたらした意味についての考察が十分に展開されていないような印象を受けます。
それでも、特に、リスク社会やアーキテクチャをめぐる問題に対する著者独自の切り込みの方向性がすでに明瞭に提示されており、後の『ウェブ社会の思想』や『ウェブ社会のゆくえ』(ともにNHK出版)に展開されていく著者の関心の出発点がうかがえるという意味で、おもしろく読みました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
政治・経済・社会
- 感想投稿日 : 2017年2月4日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2017年2月4日
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