デリダの音声中心主義や現前の形而上学に対する批判を念頭に置きながら、「生きた言葉」や「生きた自然」を求める思潮に冷や水を浴びせる本、といったらいいのでしょうか。
著者は、ルソーの文明批判や初期マルクスの疎外論から説き起こして、原初の直接性へと立ち返ろうとする思想を振り返ったうえで、そうした問題設定を脱構築するドイツ初期ロマン主義や、ベンヤミン、デリダといった思想家の議論を紹介しています。また、現代日本の思想シーンにおいて「生き生きした」思想を語る竹田青嗣、柄谷行人、高橋哲哉らに対する批判が展開されています。
皮肉や愚痴めいた語り口は著者の芸風ではあるのですが、「デリダの遺言」という真面目なタイトルを冠した本のなかで、他の著書に比してもかなりくだけた調子の文章が綴られているのは、ちょっと拍子抜けでした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
哲学・思想
- 感想投稿日 : 2015年10月9日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年10月9日
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