平松洋子の台所 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2008年4月25日発売)
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本棚登録 : 440
感想 : 38
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食器マニア、台所グッズマニアって結構多い。
用もないのに東急ハンズのキッチン売り場をうろついてしまう私。
高いから買えないというより、行き遅れの自分にとってしょせん台所は母のもので聖域だという概念があるからかもしれない。
それでも家族共有のものであるからして、主婦である平松さんもなにやら大変らしい。
電子レンジを撤去するにも一苦労で旦那さんと娘さんの抗議デモが繰り広げられる中、二人が家にいない時をねらって友人宅に運び入れたというどっかの政治家のようなことをされている。
かわりに来たのはせいろやミルクパンを使うスローライフ。
それは確かにかわいそう…。
もちろん、便利な道具もたくさん買っています。
フランス田舎町へ行ってそこで作られているあのカラフルな高級鍋買ったりとか、通販でタジン鍋のふたみたいな(これってシリコンスチーマーのふたをフライパンに組み合わせるあれですね)のを注文したりとか、美意識と実用を基準にそろえたそれは多岐にわたる。
この表紙の米櫃すてきでしょ?
いかにもシンプルライフでしょ?
これの前身を本書で知ったときはびっくりした。

だがなにも伝統的なものがすべていいとは書いていない。竹ざるを使いこなせなかった経緯もきちんと書いている。
ようするに平松さんは今なんちゃってのナチュラル派ではなく、自分にとっての美しき便利な生活を突き進んでいるのだ。
ご立派です。
読みごたえはあります。
ただ、アジア(はっきりいうと中国、韓国)が嫌いな方は、平松さんはちょっとひいきすぎるほどここの食文化をほめているので、それが嫌いな人にはすすめません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生活を楽しむ系
感想投稿日 : 2013年10月20日
読了日 : 2013年10月17日
本棚登録日 : 2013年9月21日

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