熊撃ち (ちくま文庫) [Kindle]

著者 :
  • 筑摩書房
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感想・レビュー・書評

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  • 著者が取材した7人の猟師の話をもとに作られた、短篇集。
    羆と人間の話。

    猟師の複雑な思い。

    「羆をしとめて、それでよし」と思えない、人それぞれの思いが淡々とした筆致に描かれ、悲哀が漂う。

    この短篇の取材をしている時に知った、後に『羆嵐』のことについても、著者あとがきで触れられている。

    この短篇集がなければ、確かに『羆嵐』はなかっただろう。

  • 熊撃ち。事実に取材し、猟師ごとに一話を雑誌連載のために書いたもの。有名な大事件を扱った『羆嵐』は、この連載に収まりきらなかった話を、後に書いたものだという。

    本作は、一個人である猟師が熊と向き合うさまをつぶさに眺めることができる。これも素朴で良い作品だと思う。

    やっぱり羆は怖い。被害者の身になると本当にホラーだ。文藝春秋版で読んだが、どの版もそうなのかラストに尾を引く話を持ってきてある。吉村らしい人の悪さだ。
    単純ではない面白さ。読んで良かった。

  • 短編実話集。実猟経験が全く無いのに、一人称視点でよくここまで表現出来るなと感心した。流石は吉村昭。

  • 2017-6-26

  • 吉村昭と熊と言えば『羆嵐』だが、これはその着想となった短篇集。月刊誌の企画がもとだったそうだが、あの名作『羆嵐』のきっかけになったとすれば、作品自体の価値 + α を認めざるを得ない。どの一編を取ってみても、人間と熊との清冽な闘いが淡々とした筆致で描かれており、鮮烈。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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