きみにしか聞こえない -CALLING YOU- (角川スニーカー文庫) [Kindle]

著者 :
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感想・レビュー・書評

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  • 姫がドラマCDに出演されてると知って読んでみたいな・・・と思って買った文庫です。短編集でした。それすらも知らずに買いました。相変らず盲目です(笑)。そんなワケで、表題作含め3編が収録されている短編集です。裏表紙に「“切なさの達人”乙一」と書かれてあって、そうなんだ・・・でもなるほどな。。。と思ったのであります。これまで乙一さんの作品は「GOTH」しか読んだことがなかったのですが、あれも切ないお話あったなぁ・・・と。切ないお話は嫌いじゃないけど、物語だからやっぱり最後は救われる幸せな感じになるのが好ましいのですが、そうではないんだよね。切ないまま。でもこの人の作品では、それがまぁ真実なんだろうな・・・と納得させられたりします。


    「Calling You」
    前述したように、姫さまがドラマCDに出演されてた作品で。舞台設定上、割と声だけで淡々とお話が進んでいくドラマCDなのかしら?と読みながら思いました。コレを読む前は、「原作を読んでみたいな」と思っていたのですが、読み終わった今は、「ドラマCDも聴いてみたいな」と思うようになってしまいました。
    最後の終わり方が切なくって納得できないんだけども、そうそう上手くいかないのが世の中、人生ですものね。この作品の視点は女の子なのだけど、男の子の視点でも見てみたいな・・・って思いました。男の子がどう思ってて、どうしてそういう行動に出たのかがちょっと知りたいな・・・って、読後に思ったので。


    「傷-KIZ/KIDS-」
    出てくる2人の男の子たちが置かれてる境遇が若干笑えなくて、痛かった。あそこまでじゃないけどさ、やっぱり妙に気持ちが分かる部分もあって。この2人の男の子たちはお互いに良いパートーナーというか、傍にいてくれる人を見つけたワケですが、そういう自分の周りを取り囲む人によって、「自分」という人間は作られているんだよなぁ・・・と改めて実感。このコたちの親がああなったのは、自分自身の問題っていうのが1番大きいのかもしれないけれど、それでもやっぱりこの2人のように「自分」を分かってくれる人が周りにいたのならば、変わっていたものもあったかもしれないと思うと、色々複雑です。でもきっと誰しもがそうなんだろうな・・・と。


    「華歌」
    今回の中で1番色々と複雑な思いをしながら読んだ作品です。最初は主人公の思いが、あまりにも理解できて胸が痛くって。そして最後に「ぅえぇえ?!」と思う展開が2~3度あり、その舞台となった状況も明らかになり、思い出したくもないコトを思い出さされて、ちょっと悶々と鬱々・・・(苦笑)。

    「GOTH」を読んだ時も「やられたぁ~」って感じになったんですが、今回もまったく同じ状況に陥りました。文章のトリックおもしろすぎるよぅ♪(興奮)男の人だと思ってた人が女の人で、女の人だと思ってた人が男の人で。それがあの人もこの人もでワケ分かんなくなってきて、頭グルグル。もう1度最初から読み直したさ(笑)。だから基本的に思ってた状況が違ってて。そういうことだったのか・・・と、自分の経験が蘇ってきて凹み。や、実際体験したワケじゃないんだけど、その場に居合わせただけなんだけど、でもかなりの衝撃を受けたんだよ、私は。ていうか実際に体験したワケじゃないのに、こんなに凹む私がおかしいのかな?でも今でも思い出すとカタカタ震えてきて泣きそうになるし、あの先生の声だとかが蘇ってきて吐きそうになる。表面上だけかもしれないけど、当の本人がケロリとしてるのが恨めしいったら・・・。

    あや。脱線したわ。

    そういったワケで、文章自体はとっても楽しく読めたのだけど、私この手の設定は苦手です・・・。でも読む作品にこういうのが多いのが痛い(涙)。だから私は幸せらぶらぶハッピーな話が好きなんだ。盲目的に一途で溺愛なカンジがいいんだ・・・。そういうお話読みたいのに、なかなか小説では巡り合いません。なんでだ?!

    タイトル、読み始めは何て読むのかが分からなかったのですが、作品を読んでみてなるほど・・・と。そういう読みでいいんだよね。かけてるんだよね?


    ―――乙一さんの文章のトリックはすっごく「やられた感」があって好きなので他の作品も読んでみたいなぁ・・・と思う反面、内容がとっても切なくって、ちょっと光を見出すのが難解な作品が多いので悩みます。

  • 短編集だったので、だらだらせず読みやすかった。心に傷を持った人々が温もりを見つける物語。特に1つ目の話は主人公に今までの自分が重なるところがあり共感できたし、とても感動した。3つ目の話は思い込みによって、最後は思わぬ展開になった。整理も含めて読み直すのもいいと思った。

  • ハッピーエンドにしてほしかったな。。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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