学力と階層 教育の綻びをどう修正するか

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2008年12月5日発売)
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感想 : 19

先日、衆議院選挙は自民党の圧勝に終わりましたが、国会議員に対する批判の一つとして,世襲問題があります.
世襲問題をどのように捉えるかは別として,資金や支持層の継承という点では,2世議員が有利な面がある様です.
しかし,そのような世襲は、実は私たち日本社会に既に広がっていることでもあります.
レベルの高い大学の学生は,高収入の親が多い傾向にあることは,現在はある程度,社会的にも認知されていますが,著者は,親の収入や学歴等が子どもの学力に影響すること,すなわち学力の階層格差の存在を早くから指摘されていました.
そして,社会の移り変りが激しくなる21世紀では過去に学んだことのストックではなく,学ぶ力自体が重要になる「学習資本」主義の時代が来ることを指摘し,その中でも階層による格差が生じうることを指摘されています.
その他にも,教員の勤務実態や教育政策,若者の自分探しについても言及されていますが,統計的な根拠に基づいた上で論の展開がなされており,説得力があります.
自らのこれまでの経験とすり合わせながら読んでも,とても興味深い本だと思います.
(2012ラーニング・アドバイザー/図情NAGAMI)

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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会科学の本(政治、法律、経済、教育、産業など)
感想投稿日 : 2012年12月28日
読了日 : 2012年12月28日
本棚登録日 : 2012年12月28日

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