本書は、従来の学校英文法の考え方に疑問を投げかけ、実際の言語使用に即した英文法のあり方を探っています。私たちにとってなじみの深い伝統的な学校文法では、いわゆる「五文型」を文法の基本的な知識として学習します。純粋に英語の文構造をとらえるだけであれば、五文型を知っているだけで十分かもしれません。しかし、意味や実際の使用について考え始めると、とたんに五文型という考え方では説明がつかない事実に出くわすことになります。例えば、A cat bit a rat.とJohn had blue eyes.は、いずれもSVOという同じ第三文型の形をしています。ですが、受動態にできるのは前者だけで、A rat was bitten by a cat.とは言えても、Blue eyes were had by John.とは言えません。単に文型に関する知識があるだけではこの事実を説明することができず、ひいては、実際に使用する場面で誤った表現を用いてしまうことになるかもしれません。こうした事実を説明するためには、文型以外の要因を考慮に入れる必要があります。本書は、五文型の考え方ではとらえることが困難な事例を多数紹介し、それらについて、意味や語法の側面からていねいな説明が与えられています。英語学習者にとってとても参考になる一冊と言えます。
(ラーニング・アドバイザー/人社 IKARASHI)
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- 感想投稿日 : 2015年5月1日
- 読了日 : 2015年5月1日
- 本棚登録日 : 2015年5月1日
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