一生懸命整え、守ってきた家庭なのに、なんだか居場所がないような。
夫が会社員として脂ののった時期にあり、
こどもが反抗期に入ったり、自立したりし始めたら
主婦なら一度は、そう感じる瞬間があるのでは?
常日頃、「世間を知らない」と夫に小馬鹿にされている美菜子。
幼いころからなにげなくこなしてきた掃除の能力を認められ
ハウスキーピング会社Team HKで生き生きと働き始める、という書籍広告を見て
「おお!しかも作者はあさのあつこさん!」と、張り切って図書館に予約したのですが。。。
美菜子の武器ともいえる、丁寧な掃除の描写がほとんど無くて
せっかくゴミ屋敷へと掃除に派遣されても、他のメンバーがせっせと掃除する中
なぜか美菜子だけが作家の先生の話し相手にされ、
物語の比重が謎解きのほうに大きく傾いてしまうのが残念。
Team HKのメンバーを始め、世間的にはハードボイルドなイケメン作家として通しながら
気の許せる仲間うちでは、思いっきり乙女に戻る那須河先生など
魅力的なキャラクターがたくさん登場するのに
それぞれの事情にさらっと触れただけで、あっという間にお話が終わってしまって。
「Team HK、序章! 続きはwebで!」みたいな感じで
「え~、そんなぁ。。。」と思ってしまうのは私だけでしょうか。
あさのあつこさんといえば、やっぱり、
ガラスでできたナイフの切っ先のような、突き抜けた自意識を秘めた繊細な少年像。
同性である主婦を描くと、思い入れが強すぎて
かえって重たくなってしまうのかしら?
とはいえ、ミステリに傾きすぎず、もっとTeam HKのみんなと
お近づきにさせてほしいなぁと思わせる一冊です。
- 感想投稿日 : 2013年6月25日
- 読了日 : 2013年6月17日
- 本棚登録日 : 2013年6月20日
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