いつも参考にしているブログで紹介されていたので購入。元々、著者の運営していたブログ『オリモノわんだーらんど』をいつも見ていたので、そのノリで。
うーん、評価に困る本だ。。。いや、言わんとしていることは分かるのよ。彼女の表現力の高さ、面白いおかしく書くスキルの高さと相まって、面白い作品に仕上がっているのは事実。
だが、それでいいのかな、と。アル中=アルコール依存症のハードルをすげぇ下げたんじゃないかな、という気がしないでもない。
アルコール依存症ってのは、どこに被害が及ぶって、当人の周辺の人達なわけよね。家族や友人など。その人達の声があまりにも少なすぎるんじゃないだろうか、と。加えて、周囲の人に恵まれすぎている点もある。もちろん誇張しているところもあるのだろうけど、家族の理解は高い(ように見える)し、周囲の友人も著者の奇行を楽しんでいる(ように見える)。読んだ人間に「この程度なら」と思われてしまうのではないだろうか。
一番の問題は、著者自身が巻末の鼎談で言っているが、「私はむしろ「記憶を飛ばした自分がどんなひどいことをしたか」を聞くのが好きです」という思考である点かと。それはネタにしかならないよなぁ、と思う。そういう思考は僕自身好きだし、そういう人間になりたいとも思ったりする。が、本書においてはそれはマイナスなのではないだろうか。
結局、著者自身、それほど危機感がないのかもしれない。死んでないし、家族との別離もないし、夫も残っているし、仕事もあるし、友人も切れてないし。どこかで「まだ大丈夫だ」と思っているのではないだろうか。そう見えるだけ、なのかもしれないけど。
僕は周囲にアルコール依存症の人間がいたことはないし、それに近しいケースも知らない。が、こんなもんじゃないよねきっと、とは思う。
アルコール依存症になった先にある現実を伝えきれていない、という点で、本書は物足りなさを覚えるし、予備軍的な人々をミスリーディングするのではないか、という点で危機感を覚える一冊である。
単なる娯楽マンガとして考えたら、それなりに面白いのだけどね。
- 感想投稿日 : 2015年4月19日
- 読了日 : 2015年4月19日
- 本棚登録日 : 2015年4月19日
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