日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

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  • 集英社インターナショナル (2008年2月26日発売)
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日本人は自分たち日本人のことを集団主義的な傾向があると考えているが、ただし「自分だけは例外」と考えている集団である。
実は日本人よりアメリカ人の方が他者一般への信頼が強い。それは、失敗(裏切られる)リスクが相対的に小さく(これは本当か?アメリカには村八分的制裁は無いのか?)社会をベースに、積極的な協力関係構築を通じて他者の信頼性をより正確に検知できるようになり、正のスパイラルを生じてきたから。一方日本では、一定範囲の閉鎖的な関係性の中では、相互監視と村八分の仕組みが安心を担保してきたため、他者一般への信頼は必要とされず、信頼性検知能力も発達してこなかった(人を見たら泥棒と思え) 。代わりに身につけてきた、上のような関係性の有無実態を把握する関係性検知能力=空気を読む力で、グローバル化圧力で開放度を増しつつある最近の日本社会を無理やり処理しようとしているために生じている歪みが、「現代日本人のモラルの崩壊」の正体。
閉鎖社会時代の名残である他者への不信を乗り越えて、信頼性社会に移行するためには、失敗リスクを小さくすべく、正直者が得をする社会を構築するために、法制度を整備すべき。

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感想投稿日 : 2015年4月6日
読了日 : 2015年4月6日
本棚登録日 : 2015年4月6日

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