川崎修『ハンナ・アレント』講談社学術文庫、読了。入門として嚆矢といえる「シリーズ 現代思想の冒険者たち」『アレント 公共性の復権』待望の文庫化。資料・データのアップデートのほかは、『全体主義の起原』『革命について』『人間の条件』に焦点を当てた構成は同じだが、今なお色あせない。
「政治的な問題とは、人間の意識的な活動・相互行為によって『別様でもありえること』である。その意味で、政治的にものを考えるということは、宿命論や因果的決定論を排することでもある」。アーレントが政治理論を歴史哲学と峻別し擁護する意義は今こそ大きい。
19世紀的秩序の解体から破局の20世紀へ--アーレントの課題を「人間の複数性の徹底的な擁護と『世界への愛』」と捉え、その消息を紹介する。『イェルサレムのアイヒマン』が注視される近年、彼女の基本的構えを丁寧に明かす本書は座右に置きたい一冊。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
公共哲学
- 感想投稿日 : 2014年6月4日
- 読了日 : 2014年6月4日
- 本棚登録日 : 2014年6月4日
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