スピリチュアルな人生に目覚めるために: 心に「人生の地図」を持つ (新潮文庫 え 12-1)

著者 :
  • 新潮社 (2003年10月1日発売)
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感想 : 25
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人がモノを見たり聞いたり判断したりできるのは脳ミソの機能のおかげであるから、それがダメになってしまったらやっぱり何も残らないだろう、つまり無になってしまうはずだ、死後の魂としての意識なんてあるはずがない、とわたしは死について考えてきた。今でも基本的にそう思ってはいる。

しかし一方で、母を2年前に亡くしたわたしは、母はきっとどこかから見守ってくれている、なんていう風にも思っていたりする。これは明らかに矛盾だが、わたしの中の想いが母の存在を錯覚させるのかもしれない。

とはいえ死後の世界とか霊魂とかオーラとかには興味がある。いくら人体が脳に司られているからとはいえ、そういうものを全く信じないというのもなんとなく寂しいというか、人間らしくなくなってしまうような気がして。

夜、本書を読んでいたら、一人で号泣してしまった。えぐえぐと泣きじゃくるくらいぐしゃぐしゃに。なぜなら、この中に亡き母の存在がはっきりと証明されていたからだ。やっぱり見守ってくれているんだ、もう会えないわけじゃないんだ、お母さんはちゃんといるんだ、と確信してしまって涙が止まらなくなってしまったのだ。悲しみの涙ではなく、うれし涙だった。

そして守護霊たち(主護霊と守護霊の違いを江原さんは強く主張している)が常に自分を見守ったり導こうとしている、だから人はみなひとりぼっちで生まれひとりぼっちで死んでいくわけではない、と説かれているのを読み、なんだかとても安心してしまった。自分はどんなときも一人ではないのだ、と。こう思ったとき、体の奥深いところから、これまでの自分とは明らかに違う、生きる勇気みたいな、何かとてつもなく活き活きとしたものがふつふつと湧いてくるのを感じた。

本書の副題に<心に人生の「地図」を持つ>とあるように、本書の大きなテーマは「人生の地図」である。これは、<この世がどのようなところか。そこへ人は何のために生まれて来るのか。そしていかにして生きていくべきなのかを>示すものだという。そしてその地図には八つの法則があると。霊魂の法則、階層の法則、波長の法則、守護の法則、類魂の法則、因果の法則、運命の法則、幸福の法則、の八つ。

これらがまた説得力があって、確かにそうだと思えることばかりなのだ。また、今までこういう類の説を説いた国内、海外のさまざまな本を読んできたが、それらが見事に、この一冊に集結されていることに驚いた。あの人があの本で書いていたのはこのことだったんだ、とすべてがつながるんである。ここまで多くの人たちの語ることが同じであるなら、もはや「説」などではなくこれこそが真理なのではないかと思えてくる。

たぶんこういう話は頭から信じようとせず、逆に不快に思ったり馬鹿にしたりする人がたくさんいるとは思うが(どちらかといえばわたしもそういう傾向にあった)、信じるかどうかは別として、こう思うことで精神的に豊かに生きていけるならとても良いことなんじゃないか、生きていく上での心の支えにしていけばいいのではないか、と思うのだ。

さて、本書のもう一つの大きなテーマは、これまでほとんど語られてこなかった江原さん自身の過去について。生い立ちから、イギリスでの貴重な体験、スピリチュアルな人生に目覚めた経緯、現在の状況まで、江原さんの人生で起こったこととその内面がよくわかる。本書が文庫オリジナルの書き下ろしであるわけがなんとなく理解できた。

うーん、読んでよかったとつくづく思う。物や人の見方というか、生きる姿勢が変わった。救われた。もう人間関係で悩むこともなくなるような気がしている。人生の地図をしかと心に持ち、今この自分であることを大事にし、いろいろな経験をたくさん積んで生きてゆきたい。

本書は今後、繰り返し開いて読むだろう。自分を確認するために。他の著書も追々読んでいきたい。

読了日:2006年8月5日(土)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2009年7月16日
読了日 : -
本棚登録日 : 2009年7月16日

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