25編の物語。
一昔前の、みな貧しかったころの日々の暮らしを包むような、
ちょっと不思議な感じの物語や、
それでいてちっとも説教臭くなく、
ほうっとするお話もあれば、哀しくてしようがないお話もある。
そのなかで、一番気にいったお話というのは、
「とうげの茶屋」というお話だ。
おじいさんが一人、とうげで茶屋を営んでいる。
女房は先に逝き、ひとり息子は都会に働きにでて、お嫁さんをもらった。
おじいさんはいつもニコニコして、みんなから好かれている。
しかし時代の流れには逆らえず、不安に心が揺れたりもしたが、
ある母子をもてなしたあとに思う、
おじいさんの心持がなんともすがすがしく、
最後の5行には、こういうものこそ、
生きている者がもつ「宝」なのだと思った。
わたしもこういう老人になりたい。
このおじいさんを、とても尊敬している。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小川未明
- 感想投稿日 : 2012年9月23日
- 読了日 : 2012年9月23日
- 本棚登録日 : 2012年9月23日
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