今更ながら読みました。
一時期、このミステリーがすごいと様々な媒体で紹介され、世界中で話題となったフランスの犯罪小説です。
訳者あとがきに「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」と書かれていて、まさにそのとおりだと思いました。
残忍な場面がありつつハラハラする内容ながら、本書の見所はやはり、なんと言っても構成の巧さ。
訳書だけあって最初は違和感があるものの、読みすすめているうちにそんなことは気にならなくなります。
ネタバレにならないように本書の素晴らしさを伝えるのは難しいですが、総じて見ると主たる登場人物がいいですね。
ルイは優美で格好いいし、アルマンの健気な感じもいい。
いけ好かないと思っていたヴィダールだって、案外話がわかる奴じゃないか、なんて思えたりして。
小説としては素晴らしいけど、事件の内容はあまりに壮絶。
涙こそ流さなかったものの、あまりにも理不尽な出来事に心が痛くなります。感情移入したら気持ちが鬱々としてしまいますね。映像化もされるみたいですが、怖いもの見たさで見たいような見たくないような。ああ、でも動くルイは見てみたい。
これは確かに読んだ方がいい1冊。特に読書好きの人にこそ勧めたい1冊ですね。
やるせない気持ちは残るけど、名小説です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外の小説
- 感想投稿日 : 2017年1月2日
- 読了日 : 2017年1月2日
- 本棚登録日 : 2017年1月2日
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