百年法 (上) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年3月25日発売)
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感想 : 207
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原爆が6発、戦争の最後に日本に落された。その戦争を経験した日本はアメリカの不老技術、HAVIを導入した。回りでばたばたと人が死んでいく戦争を経験した日本人だったらだれでもそれに縋りつきたくなるなるのは当然だと思う。
しかし、皆が皆、不老になったらどういう事になるだろう?
この作家さんはそれをうまく表現していた。
日本国民全員が若く、年寄りが居ない。100歳まで生殖能力があるし、病気・事故さえなければずっと生きられる。
でも、そうなると、人口は莫大になり、食糧不足に陥る。この物語では昆虫食になっていた。家族はファミリーセットと言われ、子供たちがHAVIを受けれる年齢になると家族感が薄れて家族を解消するのだ。孫が祖母と恋をするなんて事もありえてくる。

そこで百年法という法律が、HAVI導入に際して決められた。
100年たったら安楽死をする。とサインをしてからHAVIを受ける。
最初は100年後の事。と思っていた国民だったが、100年目が近付くにつれ、初年度適用者達は精神不安定になっていく。そして政治家たちは自分たちが死なないように法改正をしようと国民投票をする。

死にたくない人達と、死なないと飽和状態になって仕事もなにもかも先人特許で若者があぶれてしまうと危惧している人達の攻防。
一時はその勝敗も決まり、平和が訪れたかに見えたが時代の流れに早くもその法律も合わない物になって行った。

下巻はどうなっていくのかな?

印象に残った言葉
『欲望と直感で迷ったら、直感を信じろ』
『死という闇があるからこそ、生の光が強くなる』

死があるから、今を精いっぱい生きようとおもうんだよな~。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: どきどき
感想投稿日 : 2015年4月14日
読了日 : 2015年4月14日
本棚登録日 : 2015年4月2日

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