『曾根崎心中』は、近松世話浄瑠璃の初作。その後の24篇に及ぶこの分野の原型となっている。主人公の徳兵衛、お初は晩年の最高傑作『心中天網島』の治兵衛、小春の造形にほぼそのまま直結するし、心中へと収斂してゆく劇構成もそうだ。また「天満屋の段」における、お初⇔九兵次(横軸・虚構)、お初⇔徳兵衛(縦軸・真実)は実に見事な立体構造を成している。なお、現在の文楽では二人はあっけなくも美しく死んで行くが、原作では「断末魔の四苦八苦」と凄惨な苦しみの末に死ぬのである。けだし、近松は死を描くことで生の重みを逆照射したのだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆日本文学/古典
- 感想投稿日 : 2013年12月27日
- 読了日 : 2013年12月27日
- 本棚登録日 : 2013年12月27日
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