ダルジュロスの悪意、そして彼に怪我をさせられながらも固着し続けるポール。その関係は何年にもわたって「刷り込」まれるのだろうか。幼少時の雪合戦は数年後に形を変えて決着を見ることになる。姉のエリザベートもまた強固なエゴイズムで弟のポールを自己の支配下に置き続ける。アガートも、そしてジェラールもそれに巻き込まれていくのだが、ここには善意を前提とした社会性は存在しない。むしろ、そうした社会的な秩序を根底から覆し否定し尽くす一種のアナーキズム、あるいはダダイズムがこの小説を支配する原理なのだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆フランス文学
- 感想投稿日 : 2014年1月27日
- 読了日 : 2014年1月26日
- 本棚登録日 : 2014年1月27日
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