遅れてきた青年 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1968年11月27日発売)
3.37
  • (5)
  • (19)
  • (48)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 177
感想 : 18

再読。作中にも一瞬顔を出すジュリアン・ソレルを下敷きに、そしてまた『芽むしり仔撃ち』の面影をも揺曳させつつ、逆説的に語られる「わたし」の自叙伝。「すでにわたしはいかなる人間の情熱をかきたてるヒーローでもなく、いかなる世代の証人でもない。わたしは、あなたとおなじだ。」―こうして閉じられるエンディングはまことに寂寥感に満ちている。大江自身にとって、それは同時に60年安保の敗北と終焉でもあったのだから。この作品は、ここでもレビューがそれほど多くはない。もはや、熱い共感を呼ぶことはないのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆日本文学
感想投稿日 : 2013年9月24日
読了日 : 2012年7月19日
本棚登録日 : 2013年9月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする