「あとがき」で、小説家になったらエッセイを書かなければいけないので、小説家にはなりたいけれど、なりたくないなんて言っているけれど、なかなかどうして川上弘美はエッセイも上手い。彼女は日頃、「テレビも見ないし、ラジオも聴かない」そうなので、そのことがまた幸いして、時事性の強い題材がないものだから、エッセイの連載後十数年を経た今でも少しも古びてはいない。時には大づかみな性格の著者のおおらかさがうかがえ、また時には極めて繊細なところも見せている。台所の蛍光灯の「そろそろ」という語りに「さよなら」と呼び掛けるのだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
☆エッセイ
- 感想投稿日 : 2013年9月25日
- 読了日 : 2012年11月13日
- 本棚登録日 : 2013年9月25日
みんなの感想をみる