池井戸さんと言えば、勧善懲悪がテーマのばっさばっさと悪役を斬りつけ、最後はめでたしめでたしで終わるのがほとんど。
しかし今回の作品はひと捻りきかせているようで、そうは問屋が卸さない。
舞台は中堅メーカー。出世頭の営業課長がパワハラで更迭されるところから物語は始まる。
その真相はどこにあるのか、本当の正義とはどこにあるのか。
このあたりの話の運び方のうまさはやはり池井戸節。安心して読める。
章ごとに人物の視点が切り替わり、それぞれの人物の背景を丁寧に描いているところはさすが。
それぞれがそれぞれの悩みを抱えており、悪人とも善人とも取れない描き方をしているのがいつもの池井戸作品と違うところか。
決して爽快になれる読後感の良い話ではなかったけれど、やっぱり面白いです。満足。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
池井戸潤
- 感想投稿日 : 2013年2月26日
- 読了日 : 2013年2月25日
- 本棚登録日 : 2013年2月25日
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