書き方本をたまには読んでみようということでブックオフで手にしました。あの「マルドゥック・スクランブル」の書くハウツー本です。
寸劇式創作塾
本書は表紙で受けるイメージ通り、とてもライトで読みやすい本です。「こうしなければいけないのである」とか格式張った言い方ではなく「僕はこうやってるし、このやり方がオススメだよ」といった風味で書かれてる、お手軽3時のおやつ風ハウツー本です。難しい本の合間にサクッと読めます。
小説を、気楽なモノにするということ。
さて、本書の目的は、冒頭、表記では9ページに書いてあります。
本書の最大の目的は、小説を、気楽なモノにするということ。特異な才能や、優れた感性を持った人間にしか小説は書けないという、古式ゆかしいブランドを、いったん無に帰してしまいましょう、と本書を手にしたあなたに提案したいのです。…略…もっともっといろんな人が、自由に気楽に商売抜きで、小説を書くようになればーぶっちゃけ、本が売れます。 本書p8,9より
そう本書は創作人口を増やそうという目的の本なのです。ハウツー本の殻を被ったステマ本でもあるのです!
冲方丁 解体新書
そんな本書ですが、意外と内容はしっかりしてます。著者の人気作「マルドゥック・スクランブル」をどうやって書いたのかの内訳であったり、著者の仕事のやり方がそのまま書いてあります。企画書の内容からどうやって発展させたか、果ては編集者によるツッコミまで。
書き方本を読んだことは少ないのですが、ここまで公開したものは見たことないので、とても参考になりました。正直、下手な本より使えるのでは?と思います。
執筆の6段階
僕が一番役に立ったと思ったのはこの3段階の書き方です。よく有名小説家に「どうやってこの本を書いたのですか?」って質問される方がいると思います。その答えとして「僕はまずアイデアを書き溜めるんだ。それで…」というように小説家は答える。その答えを構造化したようなものなのです。どんなものなのか書いておきましょう。
種書き:作品の種になるアイデア・言葉・イメージを書き溜める。
(能書き:種書きのうち小説のテーマとは直接関係ないが小説家として重要なもの)
骨書き:種書きをまとめること。設定書・企画書。
筋書き:プロット。
完成させるには、さらにもう2段階踏みます。
肉書き:執筆。
皮書き:推敲。
どうです?分かりやすいでしょう?大体、こんなものだろうなとは思っていましたが、こうやって構造化すると非常にわかりやすかったのです。どこで、自分がつまずいているのかも理解しやすいですしね。
僕の場合は筋書きと皮書きですね。小説以外にも使える技法だと思いますが、どうもこの2つが僕は弱い。特に皮書き=推敲はSPBS作家・ライター養成講座でも散々指摘されました。この文章もあとで推敲しないとな 笑
創作の3項目 小説の5項目
その他、著者はデビューする前からずっと指針にしてるものがあるそうです。
創作の3項目:知識・技術・感性
小説の5項目:主題・世界・人物・物語・文体
僕にとって大事なのは創作の3項目です。知識は常につけていっているのでまだ良いのですが、今、圧倒的に足りないのは技術です。技術書を読むのが苦手だったのもあってほぼ技術といえるものがない。あったとしても足りない。写真と文章。これから伸ばそうと思います。
小説の練習
以上のやり方を駆使して、どうやって物語ができてきたのか。「マルドゥック・スクランブル」の他に、「カオス・レギオン」、「蒼穹のファフナー」の創作過程を明らかにして説明してくれます。作家の体験談がそのまま語られるのは非常に楽しい。
それはとにかく、本書はその他にも小説の練習方法を紹介しています。主題探しのコツやテレビ番組遊び、擬人化遊び、四コマ漫画、パロディなどお役立ち情報満載でございます。さらに、ツッコまれたときようの技法も紹介されていて、いやーもう出血大売り出しですな。お買い得ですよ、旦那 笑
最後に
そんなこんなで、書き方本として本書は非常にオススメなのでございます。これは買いでっせ!旦那!(それはもういい 笑)
お粗末さまでした。
- 感想投稿日 : 2012年7月24日
- 読了日 : 2012年7月24日
- 本棚登録日 : 2012年7月24日
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