「葬られた夏」に始まる平成の下山事件研究の発端となった当事者によるレポート。ジャーナリストを自称しているが、実際にはライターであろう。そのため、上海日本人居留地(租界でないだけマシ)と児玉機関が本拠としたブロードウェイマンションを混同するなど事実誤認はあるが、素人ゆえ、研究者とは異なった視点(矢部喜美雄の入手情報への疑問、CIA関与説、国鉄権益汚職など)で謎に迫っていく。しかし、下山事件論考の結論は推論であり、数少ない手がかり(独自の論点)から、いかに読者を納得させる推論を導きだせるかが、腕の見せ所といえる。その意味では、手がかりから導き出した「逆コース」という結論は、予定調和じみて見える。
読書状況:読み終わった
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2005年に読んだ本
- 感想投稿日 : 2011年9月11日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年9月11日
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