レビュー by わたっぽさん
一言でいうと、土の薫りがする料理本。
筆者は9歳のとき、京都の禅寺に入れられた。
16歳からは寺の料理づくりを任されるようになり、日々精進料理を作っていたという。
そのような生活を送ってきた筆者が、料理を1月から12月までに分け、それぞれの時季の旬の料理を紹介している。
畑が凍りついている冬、野菜がほとんど採れないなか、頭をひねって作る料理。
草木が萌えいずる春、春が来た喜びを噛みしめながら、山菜や筍を使って作る料理。
夏野菜や涼しげな奴豆腐を使った料理。
きのこや山の果実を使った秋の料理。
大変素朴なのだが、極めて豊穣な料理の数々。
精進料理とは、「土を喰うもの」だという。
材料のないなかで、「畑と相談」しながら惣菜を「作るというよりは絞りだ」していかなければならなかったのだそうだ。
筆者は道元の「典座教訓」を引用する。
「どうして、一体粗末なものをいやがる法があるのか。粗末なものでもなまけることなく、上等になるように努力すればいいではないか。ゆめゆめ品物のよしわるしにとらわれて心を動かしてはならぬ。物によって言葉を人によって言葉を改めるのは道心あるもののすることではない。」
「食べる」とはどういうことなのだろう。
飲み会やバイキングでは食べ物は食い散らかされ、捨てることを前提に、売れる見込みの量よりも多く作られるコンビニ弁当。
日本ではおよそ4割の食べ物が食べられることなく捨てられてしまっているというのが現状だ。
時間に追われて生きていかなければならない現代。時間が何よりも優先され、食べ物を作っている余裕も、ましてや食材について考える余裕もなくなってしまっている。
食べ物に対する感謝の気持ちも、食べ物を粗末にしてはいけないという考えも、現代人みなが忘れてしまっている気がする。
このような現代において、「食」をどのように考えてゆけばよいのだろうか。
本書を読めば、そのヒントを掴むことができる気がする。
「食」にかかわる人に是非読んでほしい本。
登録日 : 2009年09月15日 20:14:19


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