「世界最速の男」をとらえろ!: 進化する「スポーツ計時」の驚くべき世界

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  • 草思社 (2013年7月24日発売)
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 2020年のオリンピックは東京に決定した。オリンピックでどんなドラマが生まれるのだろうか。まだ先だが、楽しみだ。

 著者も指摘しているが「タイム・イズ・マネー(時は金なり)」が当てはまる時代になっている。その例として、カール・ルイス選手が挙げられている。1984年のロサンゼルスオリンピック及び1988年のソウルオリンピック、そして世界陸上大会で数多くのメダルをお悪徳している。それに比例して、年収もアップしている。

 スポーツの世界に金なんてと批判はある。しかし、当事者である選手の側からすれば、一生できる仕事ではないので稼げるときに稼いでおこうと思うのももっともだ。まさか80歳になって100メートル短距離で9秒台を狙って優勝して、契約している企業から年俸をがっぽりいただきなんて思いもつかないから。

 今でこそセイコーは、多くの大会で使用されているが、1964年の東京オリンピック以前は、スイス製時計が主流だった。セイコーの社長、服部正次(しょうじ)が、「スイスに追いつけ、追い越せ」という旗印を掲げ、品質と技術力アップに励み、アンテナを張って外の情報を手に入れて、よいものを取り入れていったことが今日のセイコーを生む原動力になったとある。
 
 オリンピックなどの競技大会に欠かせないのが、計時員だ。著者は、どんな人が向いているのかセイコーの人に聞いたそうだ。「やはり協議に関心のある人がいいのですか」と聞いたところ、反対に競技や選手に関心のない人の方がいいと言われた。お目当ての選手が近くに現れて「萌えー」になってのぼせたり、3度の飯よりも好きな競技を担当して熱を入れて肝心のタイムを測ることがおろそかになっては話にならない。

 時間をめぐるドラマはこれからも尽きることはない。人類が生存している限り、時を刻み続け、0.01秒単位を争う競技が無くなることはないのだから。

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感想投稿日 : 2013年10月12日
読了日 : -
本棚登録日 : 2013年10月12日

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