去年読んだ中でベスト3に入るかなという小説。円地文子初読みであったが予想以上に素晴らしい小説だった。
倫を中心として、その夫や息子、嫁、夫の妾など様々な人物が登場しながら、絵巻をなしていく。倫の苦悩を軸としつつも、みんなどこかで悩み、何か得体のしれないものに囚われており、その何かに縛られる様は美しく端正な文章とあいまって普遍的な人間一般の苦悩にまで昇華されているような印象を受けた。著者が源氏の訳者でもあるのは納得がいく話だと思った。
「一気に読んだ!」というのが褒め言葉なのかどうかいまひとつわからないが、途中で止まらずに最後まで読んだ小説であった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説・戦後~内向の世代
- 感想投稿日 : 2014年1月7日
- 読了日 : 2014年1月7日
- 本棚登録日 : 2014年1月7日
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