文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2001年9月6日発売)
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本棚登録 : 7759
感想 : 622
5

白と黒の世界に閉じ込められているような、そんな感覚に陥った。ちゃんと世界に色はあるのに、白黒で再生されている。
この話の舞台になった寺の秘密に、そうきたかとおどろいた。今回の京極堂の蘊蓄は主に仏教、というか禅宗の話だったのだけど、なかなか興味深い話だった。理解できたかといわれれば、できてないんだろうけど。犯人の動機には理解できないところがある、ひとはいるんだろうなあ。わたしはすとんと落ちてきたのだけど。
結界の中で生きつづけたひとたちは、ようやく結界から解放される。ただ最後の最後まで、縛られてしまうひともいた。その、執着の赤は白黒の世界の中でひときわ哀しみを放っていた。
キャラ読みすれば榎さんがすてきすぎた。榎さんがかっこよかった。久遠寺翁とあのひとの再会シーン、ぐっときた。こう、深いところをえぐられた。

(1376P)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 作者:か行
感想投稿日 : 2013年4月19日
読了日 : 2013年4月12日
本棚登録日 : 2013年4月12日

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