格闘する者に○ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2005年3月2日発売)
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本棚登録 : 4801
感想 : 640
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このひとは、デビュー時からもうこんな感じだったんだなあと改めて思った。可南子の言動や考えのひとつひとつが著者のもののように思えた。これだけダイレクトに伝わってくると、普通息苦しくもなるけども、この作品は息苦しさをまったく感じることがなかった。
可南子の、マイペースながらもぶれないこころというものがよかった。潔くて、とても好感が持てた。
個人的には、ニキくんのエントリーシートにうれしかったことを書けっていわれたから、寿司を食べたことって書いたんだよ、僕はほんとに寿司がすきだから、ほんとにうれしかったんだ、というところに思わず考えさせられた。自分自身がほんとうにすきなこと、たいせつなことを書いているのに、文章で対面するひとには信じてもらうことができない。なんというか、理不尽さを感じるシーンだと個人的に思った。
なんだかのらりくらりと所在なく生きていても、それでも別にいいんだよ、といってくれている気がした。社会的な立場がない人間にも、少しだけ光明が見えているような。

(279P)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 作者:ま行
感想投稿日 : 2012年12月27日
読了日 : 2012年12月23日
本棚登録日 : 2012年12月23日

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