図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2011年6月23日発売)
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図書館戦争シリーズ全4巻を読み終えた感想。このシリーズを読みながら、ミルズの「自由論」がいつも念頭にあった。
「場合によっては悪意より善意のほうが恐ろしいことがあります。悪意を持っている人は何かを損なう意志を明確に自覚している。しかし一部の『善意の人々』は自分が何かを損なう可能性を自覚していない」
「××はいけない」という小さな善意が少しの自由を規制する。切っ掛けは些細なことでも転がり出せば雪だるまは大きくなる。
民主主義とは「人民の、人民による、人民のための政治」である。しかしそれはミルズの言うように、「人民に対する人民の権力」ではあるが、権力を行使する人民と行使される人民は必ずしも一致しない、ということだ。人民の意志を多数派が表わす時、少数者がいることが等閑(なおざり)にされ、権力が濫用されれば、「多数派の専制」が生まれる。
メディア良化法も「多数派の専制」であろう。日頃から読書にあまり縁のない人々にあっては、表現の自由に対する制限が何をもたらすのかを気づくことは往々にして少ない。気づいた頃には随分と息苦しい世の中になっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年9月14日
読了日 : 2015年7月23日
本棚登録日 : 2015年8月21日

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