シャガール ダフニスとクロエー 普及版

  • 岩波書店 (2005年10月5日発売)
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 ロンゴスが著した『ダフニスとクロエにまつわる牧人風の、レスボスの物語四巻』で、ギリシア語で書かれたローマ時代の恋愛小説といわれる。三島由紀夫が著した『潮騒』はこの小説をベースにしているとのことだったので読んでみた。

 山羊の群れに放置されたダフニスと、羊の群れに放置されたクロエがそれぞれ山羊飼いと羊飼いになり、山の中で出逢いを果たし恋に落ちる。お互い裸で抱き合ったり激しく接吻をしたりはするが、一線は越えない。やがて若い二人に様々な試練が訪れるが、見事に乗り越える。二人はそれぞれ高い身分の夫婦の子供だとわかり、その身分に復帰して結婚を果たす。

 ざっくり言うとこんな感じだが、三島の『潮騒』はどう踏襲したのだろう。『潮騒』の解説が言うように、二人が最後まで純潔を守るところなのだろう。今では考えられないようなプラトニックな関係を描いている。三島はその時代に合わないようなプラトニック・ラブを描いてみせたのではなく、あくまで古典を現代の物語に置き換えるというテクニックを見せたのだ。それでも『潮騒』はそのまま現代の小説として映画化されたり、名作として君臨しているところが三島の凄さなのだろう。

 また、この『ダフニスとクロエ』も古典過ぎる古典なのに、それほどまでに古さを感じさせないのは何故だろう。現代語訳というのが最も大きな理由ではないだろうか。あるいは外国の小説だから新鮮味があるのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 外国文学
感想投稿日 : 2016年1月28日
読了日 : 2016年1月28日
本棚登録日 : 2016年1月28日

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