七人の使者・神を見た犬 他十三篇 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2013年5月17日発売)
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本棚登録 : 356
感想 : 55
4

 15編の短編を収めたイタリアの作家の短編集。
 同作家は以前、光文社古典新訳文庫で読んでおり、今回の岩波文庫ともかなりの数がダブって収録されているようだが、殆ど記憶になかった(汗)。
 記憶になかった、とはいっても決してつまらなかったわけではなく、僕の貧困な記憶力の結果だろうと思う……だってかなり面白く読めたから。
 寓話的な作品にしても、あるものを比喩した作品にしても、とてもわかりやすい。
 けっして単純な訳ではなく、わかりやすさ故に琴線に触れてきたり、恐ろしくなってみたりするのだと思う。
 母親が登場する切ない話も心をくすぐるのだが、やはり少しばかり恐怖の味付けがしてある話が面白い。
「七階」にしても、「なにかが起こった」にしても、わかりやすいのに、じわじわと恐怖が迫ってくる。
 特に「なにかが起こった」などは容易く映像を思い描くことが出来るし、事実、あの「キューブ」という映画を監督したヴィンチェンゾ・ナタリの短編「エレヴェーテッド」を思い起こす。
 他の作品にしても、人の心理にグイグイとくいこんでくる内容が多く、読んでいて時間をわすれさせてくれる。
 ぜひとも他の作品も読んでみたい作家だ(その割には以前に読んだ内容を全く記憶していないんだよなぁ……)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ディーノ・ブッツァーティ
感想投稿日 : 2018年1月4日
読了日 : 2022年11月24日
本棚登録日 : 2018年1月4日

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