再読。小説らしい小説は「猫町」と「ウォーソン夫人の黒猫」のみで、あとは数ページのエッセイのようなものだったり、散文詩のようだったり、ショートショートのようだったり。「猫町」はやはり圧倒的に面白い。「ウォーソン夫人の黒猫」も元ネタがあるからか、翻訳もののゴースト譚っぽい面白さ。
大人になって読み返すと「老年と人生」がかなり身に沁みました。〝自分は少年の時、二十七、八歳まで生きていて、三十歳になったら死のうと思った。だがいよいよ三十歳になったら、せめて四十歳までは生きたいと思った。それが既に四十歳を過ぎた今となっても、いまだ死なずにいる自分を見ると、我ながら浅ましい思いがすると、堀口大学君がその随筆集『季節と詩心』の中で書いているが、僕も全く同じことを考えながら、今日の日まで生き延びて来た。”・・・自分もまったく同じ感じでずるずる生きてます。
※収録作品
「猫町」「ウォーソン夫人の黒猫」「日清戦争異聞」「田舎の時計」「墓」「郵便局」「海」「自殺の恐ろしさ」「群集の中に居て」「詩人の死ぬや悲し」「虫」「虚無の歌」「貸家札」「この手に限るよ」「坂」「大井町」「秋と漫歩」「老年と人生」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
>は行
- 感想投稿日 : 2014年10月14日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年8月1日
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