La La La at Rock Bottom
2015 日本
監督:山下敦弘
出演:渋谷すばる/二階堂ふみ/鈴木紗理奈/赤犬
→ http://misono.gaga.ne.jp/
単純に音楽映画として楽しめました。昭和のムード歌謡風の曲をビッグバンド風に演奏しちゃう「赤犬」というバンドの魅力に負うところが大きかったですが、対バンやスタジオ練習風景でちょこっとだけ登場する他のバンドも個性的で面白かったし(ANATAKIKOU、オシリペンペンズ)単純だけれど、音楽によって主人公が救われる、そのカタルシスを共有できたのは良かった。
渋谷すばるの演技は、いわゆるアイドルの仕事じゃなかったですね。なんていうか、いまどきのアイドルの中にはかなり演技の達者な人もいますけど、そういう上手い下手の次元じゃなくて、なんだろ、ふだんテレビとか出ないミュージシャンが、たまたま抜擢されて出演した映画で妙な味を出しちゃう、あの感じ、演技自体はたどたどしくても、その人にしか出せない独特の存在感があって許せちゃう、あの感じに近かったです。
記憶喪失の役柄ということもあってセリフ自体はそんなに多くないし、常に戸惑い、流されるしかない無垢で白紙のポチ男と、クズ人間の茂雄という男のスイッチの切り替えは、言葉ではなく「目力」の強さで語れる彼には「はまり役」だったと思う。そして歌唱力。おもむろにアカペラで「古い日記」を歌いだす場面の説得力は、きっと彼にしか出せなかった。
二階堂ふみちゃんは、沖縄出身なのによくここまで関西弁をマスターしたものだと感心。関西人の私が見ても、さほど違和感なかったです。ポチ男と二人でスイカの種飛ばすシーンも良かったけど、個人的には記憶を取り戻して去って行ったポチ男のところへきて、指を五本広げてみせる場面がグっときました。それまでのカスミには4つしかなかった大切なもの、そこにポチ男が増えたんだよという無言のメッセージに涙。
- 感想投稿日 : 2015年5月25日
- 読了日 : 2015年2月14日
- 本棚登録日 : 2015年5月22日
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