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監督 : 入江悠 
出演 : 神木隆之介  門脇麦  古川雄輝  綾田俊樹  水田航生  高橋和也  森口瑤子  村上淳  中村優子  鶴見辰吾  古舘寛治 
  • アミューズ
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本棚登録 : 48
感想 : 10
3

2016年 日本 129分
監督:入江悠
原作:前川知大
出演:神木隆之介/門脇麦/古川雄輝/水田航生/村上淳/中村優子/高橋和也/森口瑤子/鶴見辰吾/古舘寛治
http://eiga-taiyo.jp/

バイオテロによって人口が激減した近未来、ウイルスへの抗体を持った知的で健康な新人類「ノクス」はしかし紫外線を浴びると吸血鬼のように死んでしまうため夜しか活動できない弱点がある。一方、太陽を浴びて生活できるけれどウィルスに感染すると死ぬしかない旧人類は「キュリオ」と呼ばれ、文明から取り残されたような暮らしを強いられている。夜の人類と昼の人類、この発想自体はとても面白いと思う。個人的には勝手に、種族を越えたロマンスがあってロミオとジュリエットのような展開になっちゃうのかしらと想像してたのだけど、全然違った(笑)まあそれはさておき。

原作はイキウメの舞台戯曲。舞台演劇なら上記の奇抜なだけのSF設定も有効だと思う。しかし舞台でなら通用する不条理設定や特殊設定、狭い世界のチープな設定が、映画では通用しないんだよなあ。舞台では突っ込まないでスルーできる部分を、映画だとどうしてもツッコミたくなってしまう。表現手法が違うのだから、映画は映画にしかできないことをよく考えて作らないと難しい。

ノクスがそんなに知的水準の高い新人類なら、とっとと紫外線防護服でも防護ドームでも作ればいいし、キュリオの暮らす世界との境界が、あんなちゃちな門というのもありえないし、かつてそこで門番の惨殺事件が起こったにも関わらず、番人は常時一人だけ。しかも夜しかいないっぽいけど、私がキュリオだったら昼間のうちに大挙して押し寄せてあんな門ぶちこわすし、夜でも番人一人なら多勢に無勢で圧勝でしょ。というかそもそもキュリオにそういう「反逆」の意思があるんだかないんだか。文句だけは言ってるけど彼らは普通の田舎の農村生活のようなことをしているだけで、人類としては普通。
ディストピアというならむしろそれは管理社会であるノクス側の世界。しかもキュリオはある手術を受ければノクスに変身することができる。え、じゃあ勿体つけないでみんなノクスにしてあげればいいじゃん。なりたくない人だけロハス生活してればいいじゃん。

というわけで、突っ込みどころ満載の穴だらけの設定の中で、無闇に神木くんが走り回り喚き散らしているのもしんどい。キュリオの知能の低さを表現しているのか?謎だけど、とにかく終盤、奇声を発して走り回っているだけで、映画館だから我慢したけどこれもし家でDVD観てたら「やかましいわ!」とブチキレて早送りしてた(苦笑)いやけして神木くんが悪いわけじゃないんだけど。門脇麦ちゃんも良かったし、ノクスの門番役の古川雄輝は独特の静かな存在感があって彼もとても良かった。村淳は役がクズすぎてムカついたし、村長の息子もお前は高畑裕太か!(※時事ネタ)て感じでクズだったけど、まあそれは脚本通りということで。

ただカメラワークも舞台演劇を意識したのか引きの画ばかり、しかも基本夜のシーンが多いためただでさえ薄暗く、登場人物たちの表情が見えないのはストレスでした。農村の風景など、映画ならではのスケール感のある映像は良かったと思うし、こういう前衛的な演劇作品を映画でやってみようという冒険心と、角川とアミューズが企画制作してるにも関わらずエンディングに場違いなアーティストのごり押し主題歌などなかったことは評価したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  邦画
感想投稿日 : 2016年9月5日
読了日 : 2016年9月4日
本棚登録日 : 2016年9月5日

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