沈黙-サイレンス- [DVD]

監督 : マーティン・スコセッシ 
出演 : アンドリュー・ガーフィールド  アダム・ドライバー  浅野忠信  窪塚洋介  イッセー尾形  塚本晋也  小松菜奈  加瀬亮  笈田ヨシ  リーアム・ニーソン 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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本棚登録 : 324
感想 : 81
4

SILENCE
2016年 アメリカ 162分
監督:マーティン・スコセッシ
原作:遠藤周作『沈黙』
出演:アンドリュー・ガーフィールド/アダム・ドライバー/リーアム・ニーソン/窪塚洋介/浅野忠信/塚本晋也/イッセー尾形/加瀬亮/小松菜奈
http://chinmoku.jp/

くだらない余談から入りますが、2012年のドラマで関ジャニの錦戸亮が本人役を演じる「パパドル!」という作品がありまして、まあドラマ自体はファンから見ても黒歴史レベルの酷い内容だったので粗筋等は省きますが、そのドラマの中でマネージャー役の財前直見がある日、錦戸に「マーティン・スコセッシが遠藤周作の沈黙を映画化しようとしていて日本人キャストを募っている。オーディションを受けてみないか」という話を持ち込みます。繰り返しますが2012年のドラマです。ドラマの中の設定にしては妙なリアリティがあったので興味をもって調べてみたら、その時点でマーティン・スコセッシが「沈黙」を映画化しようとしている話は実際に進んでいることはわかりました。ドラマの中で錦戸はこの話を断りますが、実際にはジャニーズからも例えば嵐のニノ、V6の岡田くんあたりならオーディション受けにいったかも、というか、日本の芸能事務所各所に映画「沈黙」出演キャストのオーディションしますよというお触れがこの時期出たのはたぶんガチだったのかなと。

閑話休題。そんなわけでその直後に原作は既読。映画は原作のテーマに忠実で、当時の日本の様子等も他のハリウッドのとんでも映画に比べたら随分丁寧に再現されており、かなりの力作、そして良作でした。日本の信徒たちが基本的に英語ぺらぺらなのはちょっと出来すぎかなと思いましたが、そこはやはり日本ではなくハリウッドで映画化されたのだからあちら向けの利便性を考えれば仕方ないか。むしろキリスト教国で作られながら、必要以上に日本側(※信徒ではなく弾圧する側)を残虐に描かず、拷問シーン等も想像よりずっと視覚的に耐えやすくしてあったし、せっかく布教にいったのに日本人残虐卑劣!迫害に耐えた司祭えらい!みたいな美談せず、きちんと原作のテーマを汲み取ってあったのが素晴らしいと思いました。

なので正直感想については、原作を読んだ後とほぼ同じ。なぜ神は信徒の苦しみを前に沈黙しているのか、もしかして神は最初から存在しないのではないのか、揺らぐロドリゴの気持ち、しかし神ではなく人間として苦しんで死んだイエス・キリスト(彼もまたエリエリレマサバクタニと十字架の上で叫んだ)への信頼。キチジローという人間は、弱い。弱いけれど悪ではない。彼への嫌悪感を隠せないロドリゴは、彼に比べたら筋の通った悪のほうがよっぽどマシだと思うけれど、実は彼のように弱い人間にこそ教えや救いは必要である。主観かもだけど、ロドリゴがいつも思い浮かべるキリストの絵、その顔が、なぜかキチジローに似ていることが暗示的だった。

日本人キャストは皆さん熱演で良かったです。キチジローの窪塚洋介はもちろんのこと、通訳の浅野忠信や井上筑後守のイッセー尾形の得体のしれない感じ、そして殉教する百姓モキチ役の塚本晋也がまあすごい迫力でした。役者としても通用する監督って日本では珍しい気がする。公式サイトやチラシにクレジットされてる以外にも結構たくさん日本人の俳優さんが出ていたのだけど、私がはっきりわかったのは青木崇高と片桐はいりだけでした。

映画は文芸坐で観たんですが、7/31最終回上映前に窪塚洋介の舞台挨拶がありました。うすい色のサングラスにカジュアルなファッション、見た目は正直かなりチャラめ、登壇して開口一番「マット・デイモンです」と言ってだだすべりしてましたが、それ以降は空気を読んだのかわりと真面目にトーク。正直あまりこういうトークは得意ではなさそうでしたが、一生懸命何か伝えようとしてたくさん話してくれてる様子はとりあえず可愛かった(笑)プライベートの奇行をとやかくいわれがちだけど、役者としてはホントに良いんだよなあ。その日の文芸坐のツイート「窪塚さんが池袋に帰ってきますよ!東口だけど!」はウケた。そっか、IWGPは西口ですもんね(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  アメリカ映画 他
感想投稿日 : 2017年8月2日
読了日 : 2017年7月31日
本棚登録日 : 2017年8月2日

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