萬斎さんの幼少期から30歳までの心境、狂言に対する考え方などの変遷がとてもわかりやすく書かれています。内容とは外れますが、論理的な文章を書くことがとてもうまいなぁと思いました。きっと、たくさん悩んで、考えられているので、十分に言葉が練られているのでしょう。
私もまだ三十代ですが、萬斎さんの考え方の変遷についてはとてもよくわかります。例えば、子供のころにとても厳しく仕込まれたからこそ、それが今となっては自分の芸に対する自信に繋がっている、とか、昔は型や伝統という枠組みがとても嫌だったが、今となっては、そういった制限があるからこそ、それを超えるため様々な努力をして新しいことが考えられる。何にも縛られないことが自由ではない、というところなど。他にも、狂言を別の視点で見ることで、受け取り方がかわったなど、狂言に限らず、人生論として、まだまだ若い年代の人には受け取りやすく、納得しやすい言葉で語られています。
また、狂言の知識や歴史などもちりばめられながら語られていますので、萬斎さんが好きで狂言に興味をもった狂言初心者の方にはうってつけの本だと思います。
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- 感想投稿日 : 2010年8月10日
- 読了日 : 2010年8月13日
- 本棚登録日 : 2010年7月29日
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