貫井さん、容赦がない。
あらすじ:
中学生の少年、凡庸を厭い苛立ちを抑えられない久藤・大富豪の子息で他者から完璧に見られる葛城・両親がいない慎ましやかな生活をする神原。何も接点が無い三人だが、それぞれが起こした事件によって、接触が生まれる。決して仲間や同士ではない存在。信頼もしてなければ嫌うことも無い。だが、三人は少年犯罪――それも凶悪犯罪の受刑者として結びついてしまった。
冒頭容赦が無いと言ったのは、望んでいたものからは取り上げ、望まないものにそれを与える、という徹底した貫井さんの姿勢についての感想だ。ねたばれになるから曖昧にしか書けないけれど、上巻の少年院に入ってからラストまで、残酷なまでに厳しかった。「殺人症候群」を書ききっただけある。厳しいきびしい。
はじめ、三人の中で一番好意から遠かった久藤。それが下巻からはもっとも理解しやすいキャラになった。いかにも、な完璧キャラ葛城。彼は名状しがたいんだな。自己完結しすぎというか・・・。それが徹底している。かなりきつい体験を舌のにもかかわらず結局落ち着き払っている姿なんて特に。そして神原。一番わかりやすいと思った少年。かれの「欲」の部分はね、やっぱり理解できてしまうんだなあ。
少年院のくだりは「ショーシャンクの空」を思い出してしまった。だからこそ、あんなふうに話が進むのかな、と思っていたら・・・。うん、厳しい。
読み出した当初、子供たちが病院の手違いか何かの陰謀で入れ替わってしまう話だと思っていたのだけれど。むー、貫井さんだわ。
- 感想投稿日 : 2012年12月26日
- 読了日 : 2012年12月25日
- 本棚登録日 : 2012年12月25日
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