日本人というリスク (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社 (2013年3月20日発売)
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感想 : 23
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人生を資本/資産、リスク/リターンという視点から見てみると、「マイホーム・サラリーマン」という生き方がいかに盤石の反対なのかわかる、という本。
前半は人的資産、後半は金融資産を扱う。後半は著者ならではの成分が少なめなので前半について。
リスクはなくせない。回避する/軽減する/転嫁する/受容するなどの方法はあるけど、リスクをなくすとリターンもなくなってしまう。リターンを得るなら何らかの形でリスクを受け入れるしかなく、その時に大切なのはリスクを受け入れ可能なサイズに小さく分散しておくこと。その観点から最悪なのが、リスクを集中させてしまう生き方。つまり、
不動産神話→持ち家を買う
会社神話→大きな会社に就職して定年まで勤める
円神話→日本人なら円資産が安心
国家神道→定年後は年金で暮らす
という生き方。
それぞれの内容は読んでもらうのが一番いいけど、本書の面白さは「え、それは資産じゃないの?! それが資本になるの?!」「そんなことして危なくないの?! かえってリスキーなの?!」という意外性。蒙をひらかれる楽しさがある。
そして、ゼロサムとプラスサムについての語り口から判断するに、本書の内容はゼロサム(知っている者だけが抜け駆け的に得をする)のではなくプラスサム(皆が知って皆が変われば皆が得をする)だと思われる。
ぜひ、御一読あれ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年11月8日
読了日 : 2013年11月8日
本棚登録日 : 2013年11月8日

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