ヒンドゥー教: インドの聖と俗 (中公新書 1707)

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  • 中央公論新社 (2003年7月1日発売)
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●構成
プロローグ ヒンドゥー教と日本人
第Ⅰ章 ヒンドゥー教とはどんな宗教か
第Ⅱ章 ヒンドゥー教はいつ始まり、どのように発展iしたか
第Ⅲ章 ヒンドゥー教の支持基盤:カースト制度
第Ⅳ章 ヒンドゥー教のエートス
第Ⅴ章 ヒンドゥーの人生と生き方
第Ⅵ章 解脱に向かって
エピローグ シュリー・ラーマクリシュナの生涯と福音
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 宗教を理解することは、なかなかに難しい。自分を形成したバックグラウンドとは全く異質な、異文化の宗教であれば尚更であろう。日本に生きる私たち、あるいは西洋の人々でも、とりわけヒンドゥー教に対しては、おそらく大きな違和感を感じるのではないか。
 本書は、インドの人々の日常生活に多大な影響を及ぼしているこの宗教について、その成立の歴史を振り返り、宗教としての性格や特徴を論じ、また現代のインドにおいてどのように理解されているかを述べる。よくヒンドゥー教は多神教だというが、著者はそうではなく、多くの神々から自分にとって必要な、御利益のある神を信仰するのだという.。一見ご都合主義だが、これはヒンドゥー教の大きな宗教的寛容の精神に依る。他の宗教もそれはそれとして認め、その上で自分の奉ずる神を慕うのである。そもそもヒンドゥー教には聖書のような教典は存在しない。様々な宗派の様々な慣習があり、千差万別の教えの緩やかな総体としてあるのがヒンドゥー教なのである。
 ヒンドゥー教を通じて、その教えだけでなくインド社会のメンタリティについても概観できる本であり、他の宗教を信じる人にとっても自分の宗教について再度理解を深めることができる一冊であろう。
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【図書館】

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宗教学・宗教史
感想投稿日 : 2010年9月3日
読了日 : 2010年9月3日
本棚登録日 : 2010年9月3日

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