●構成
宗教改革への視点
宗教改革と国際政治
宗教改革の思想的基盤
宗教改革と主権国家
宗教改革と民衆文化
周辺地域での宗教改革
カトリック宗教改革
宗教改革の再評価
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本書は、宗教改革という世界史上のトピックについて、宗教改革そのものより、宗教改革の背景を中心にとりあげる。その前提として、免罪符の販売とそれに続くルターの「九十五カ条の論題」から始まる宗教改革の終わりを、旧来の説では1560年ごろとされていた点について疑義を唱え、カトリックとプロテスタントの対立、およびブルボン家とハプスブルグ家の対立という縦横の軸で捉えることが出来る三十年戦争の終結まで続いたとする。短期的・一時的な出来事ではなく、100年をこえる長期的・持続的な変革運動なのである。
カトリック聖職者の腐敗や権力闘争への批判として立ち上がったプロテスタントであるが、必ずしもプロテスタントがカトリックに勝っていたかというとそうではない。プロテスタントは国への帰属意識を醸成したが、一方で厳格的な態度が民衆文化としての様々な慣習、儀礼などを異教的なものとして駆逐することとなった。その点においてはカトリックの方がよほど寛容であった。また、プロテスタントとの抗争を経たカトリック自身にもイエズス会のような改革派が現れた。
現代日本で生きる我々にとってはいまひとつ馴染みの薄い宗教論争が、何故発生しどのように推移したのかを概観できる。
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【大学図書館】
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
宗教学・宗教史
- 感想投稿日 : 2010年8月20日
- 読了日 : 2010年8月20日
- 本棚登録日 : 2010年8月20日
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