レビュー by やりみずさん
文庫本で600ページあまりの長編ですが、二日でいっきに読み通しました。『アルジャーノンに花束を』の訳者でもある小尾芙佐さんの翻訳もすばらしいです。
解説の大野万紀さんがコメントしているように、主人公のルウは自閉症スペクトラムの中でも高機能で、アスペルガー症候群と言ってもよいと思うのですが、自閉症者の視点から見えてくるこの社会のありようが痛切に伝わってきます。自閉症を〈治す〉ということがどういうことなのかを深く考えさせる小説でもあります。
物語の最後で自閉症の治療に〈成功〉した主人公。それは以前の自分を失うのではなく、新しい自分を獲得することでもありました。それは、ハッピーエンドといってもよいのでしょうが、正直なところ、私はすぐにはそれをのみこめないでいます。
登録日 : 2009年01月04日 22:29:22


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