風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」

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  • 徳間書店 (2003年10月31日発売)
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感想 : 693
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積ん読状態になっていたナウシカマンガ版、雨の日曜日ということで一気読み。
映画はマンガ版の2巻までの話なわけだが、マンガ版を読んだ後だと、やはりどう考えても尺不足を感じずにはいられない。巨神兵への印象も全く変わるしね。
そういえばクシャナの設定は後年、エヴァのアスカとかゼロの使い魔のタバサが影響されてるのだろうか。

作品のテーマとしては、現在のジブリ作品の軸となる「多様性の許容」を感じさせると同時に「人間の原罪との付き合い方」についての考察が鋭く盛り込まれている。
人間の存在自体がすでに地球から恵みを削り取り、互いに食らいあうものであり、人間はその本質に対して葛藤し続けなくてはならない。しかし人間が人間である以上、その葛藤からも結局は何も生まれない。
よって、一見向上的な営みに見える科学技術や論理による人間の進歩(神性への歩み)を崇めるのではなく、苦しみや悲劇、愚かさといった人間の負の要素をいかにして愛し、抱きながら歩んでいくのか。

このテーマは以後のSFや環境、人間性の内面を描く表現を含むサブカルチャーに対して大きな影響を与えていると感じた。過ちの螺旋を受けとめながらも時を紡ぎ、人間の過ちこそを生きるエネルギーと認めたターンエーガンダムなどにも、同じ匂いがする。

作風はどちらかといえば映画版原画にかかわっている庵野秀明に近い・・・かな?
時間と体力があればもっとたくさん書いてまとめてみたいけれど、社会人的には寝なくてはならない・・・
感動が薄れないうちにかけるかな・・・

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感想投稿日 : 2010年5月24日
本棚登録日 : 2010年5月24日

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