未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

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著者 : 河合雅司
yaszさん 社会・生活・労働   読み終わった 

巷に溢れている経済予測の多くは外れたり当たったりするもので、良いように解釈すれば、悪い結果に至るものについては、そうならない様に皆が努力するからだとも解釈できると思います。

しかしその中で、将来の人口予測については、現状としての事実である出生数・死亡数・出生率・死亡率・各年代の人口数を踏まえると確実に予測できるし、現在のデータも以前に予測した通りになっていると言われています。

この本は、人口減少・少子高齢化が確実となった日本、それも世界の中で稀にみるスピードでその社会へと変わっている日本の将来の姿が予測というより予言されています。今年(2017)を皮切りに、総人口が8800万人に減少してしまう、2065年までの「人口減少カレンダー」が、その時のトピックスとともに解説されています。

人口が減ると言っても、明治維新の頃に戻るだけだと、以前は軽く考えていた、私として能天気な時期もありましたが、2065年の人口分布、外国人の占める割合等、全く状況が異なることを改めて認識しました。

この本では将来を悲観するだけではなく、今からでも可能な処方箋も示しています。私が社会人になった平成元年以来30年程度、なんだか停滞の続いてきた日本ですが、元号も変わる数年後から、新しい・若い人たちが希望の持てる日本になってほしいなと思いました。

以下は気になったポイントです。

・今取り上げるべきことは、人口の絶対数が激減したり、高齢者が激増したりすることによって生じる弊害であり、それにどう対応していけばよいか。経済が成長しても、少子化に歯止めがかかるわけでもなく、高齢者の是寄贈スピードが緩むわけでもない(p6)

・求められている現実的な選択枝とは、拡大路線でやってきた従来の成功体験と訣別し、戦略的に縮むこと、日本よりも人口規模が小さくとも豊かな国はいくつもある(p11)

・高齢化率が7%から14%に達するのに日本の場合は24年であるが、ドイツ40年、イギリス46年、アメリカ72年、スウェーデン85年、フランス115年と比較して速すぎる。高齢者は2042年に、3935万人でピークを迎えるまで増え続ける、高齢化率は2036年には33.3%、2065年には38.4%、2017年現在で、日本人女性の3人に1人はすでに65歳以上(p25)

・今後の日本の高齢社会とは、高齢者の「高齢化」が進んでいくこと、つまり、65-74歳の人口が減少するなかで、75歳以上の人口が増える(p27)

・2016年度には入学定員割れした私立大学は257校、全体の44.5%が学生を集められない状態、1992年に523校だったのが2012年には783校(p31)

・全国の水道事業者の有利子負債は2014年度で、7.9兆円であり料金収入の約3倍、経常利益を確保するには、2021年度から毎年、1.7-2.1%値上げが必要(p38)

・人口減少にも関わらず世帯数が増えている、2019年の5307万世帯でピークを迎える。平均世帯人数は、2010年の2.42人から2035年には2.20人となる(p55)

・社員の年齢構成の偏りは企業に、人件費の増大という問題を突きつける。団塊ジュニア世代は2017年時点で、43-46歳、彼らの年齢があがるにつれて人件費が増大する(p67)

・2024年に、戦後のベビーブーマーである団塊世代が全員75歳以上となる。このとき日本の人口は2015年比較で、390万人減少する。一方で、75歳以上は490万人ほど増えて、2121万人となる、65歳以上とすると3677万人で3人に一人が65歳以上となる(p68)

・東京は2020年の1336万人(国際調査の推計)より5年遅い2025年に1398万人でピークを迎え、2060年には1173万人になるとした。23区のピークは2030年の979万人、多摩・島嶼部では2020年、426万人(p75)

・輸血用の血液は、ケガなどに使われるのは、わずか3.5%、残りの80%は、がん・心臓病・白血病などの治療に使われる(p86)

・存在確率50%となると、サービスの廃業・撤退するところが出てくるライン、存在確率80%が存在できるレベル(p90)

・現在の空き家は13.5%であるが、2033年には33%を超える(p93)

・戦後一貫して少子化傾向にありながら人口が増えていたのは、平均寿命の延長が少子化を覆い隠してきたから。2040年には消滅の可能性がある自治体は896もあり、人口が1万人を切る523自治体はその可能性が大きい(p110)

・東京圏で高齢者が激増するのは、経済成長時に上京した人が老齢化、現在の勤労世代が親を呼び寄せるため。老後も東京圏に住み続けるのは、介護難民に陥るリスクを覚悟するようなもの、退職後は東京から地方に脱出するもの一つの選択肢か?(p114、116)

・25年後の2042年こそ、日本最大のピンチである。高齢者の数が3935万人と、ピークを迎える年で、2016年の高齢者人口を500万人近くも上回る。団塊ジュニアが高齢者となり、就職氷河期世代であり貧しい高齢者が増える(p118、119)

・65歳人口が減る地方の自治体は、もはやすっかり高齢化して高齢者人口が増えようもないから。若者がそれ以上に減るため、高齢化率は高水準に見えるだけ。高齢者率ではなく、高齢者数で医療・介護のニーズが決まるとすれば、大都市部がその対策が必要(p124)

・高齢化は地方ほど深刻と誤解されていたのは、高齢者数の増加を意味する「高齢化」と、総人口に占める高齢者の割合が増える「高齢化率の上昇」とを混同していたことに由来する(p124)

・高齢者数が増える「高齢化」と、子供の数が激減することを表す「少子化」とは、まったく種類の異なる問題である。生産年齢人口について東京都は、2010-2015において、11万人以上減少している。大都市部では総人口はあまり変わらず、高齢者のみが増える。これに対して地方は総人口は減少するが、高齢者はあまり増えない(p125、126)

・高齢者の線引きを「75歳以上」へ引き上げてみよう、すると2065年の高齢者の増加は25.5%まで下がる。同時に子供の定義を14歳以下ではなく、19歳以下とする。この新たな年齢区分で高齢者を支えるかを計算すると、団塊世代が75歳以上となる2025年は、3.7人で1人と、騎馬戦型社会を維持できる。65歳以上がピークとなる2042年でも、3.2人に一人、2065年は現在と同水準の「2.4人に1人」となる(p165)

・便利すぎる24時間社会からの脱却をするために、顧客の意識を変えることが最も重要である(p167)

・遠く離れた都道府県が、飛び地として合併するくらいの大胆な発想の転換が必要、人口減少下での合併は、それぞれの強みと弱みを補完することを目的とするべき(p172)

・大学連携型CCRC(Continuing Care Retirement Community)が全米に広がっている、リタイア後のまだ元気なうちに都会から移住し、大学キャンパスで学生生活を楽しみ、体が弱ったら同一敷地内にある大学病院直結の分院、介護施設で暮らす地域共同体である(p182)

2017年7月9日作成

レビュー投稿日
2017年7月8日
読了日
2017年7月9日
本棚登録日
2017年7月4日
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