地域通貨入門: 持続可能な社会を目指して

著者 :
  • アルテ (2005年8月1日発売)
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感想 : 4
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とうとう政府紙幣という概念が出てきました、無利子の国債だそうです、とうとう財政破綻がせまってきて利子を払う国債を発行するのが難しくなってきたのでしょうか。

国が破綻した場合には、その国の通貨は使うことは事実上できなくなります、外国ではその場合には地域通貨を使用して、人々は生活していたようです。地域通貨というのは、つい最近までは、失敗した例ばかりが取り上げられていて、イメージがあまりよくなかったという印象を受けていましたが、国の破綻が起こりそうな雰囲気になってきた今、それらのメリットはどこにあったのかを勉強しておくのは良いと思い、この本を読んでみました。

本当は今のままの通貨を使い続けたいのですが、10年後が不安でもあり、少しだけ楽しみでもあります。

以下は気になったポイントです。

・初めは航海ごとに資金を集めては儲けを清算していたが、そのうちに永続的な事業体にしたほうが効率であると気づいて、株式会社となった、出資者は定期的に配当金という形で儲けの一部を手にするようになった(p12)

・今の金融制度では、お金の管理という観点からは、政府も一般市民も違いが少ない、特に外国から投資をたくさん受け入れている場合(p18)

・金利システムとは、ガン細胞の成長曲線と同じで、がん細胞が宿主を食い尽くす(p26)

・地下鉄、高速道路などの公共財を建設する場合、金利の存在が大きな障害となる(p29)

・減価する貨幣を導入した場合、利率がマイナスでもお金を貸す人が現れる可能性がある、100万円が1年後に88万円となる場合、95万円で貸すほうが有利(p37)

・日本円というルールに問題があるのであれば、日本円と同時並行に自分たちの「交換手段」を使っても良い、これが地域通貨を使う理由(p44)

・大恐慌の時代から1950年代にかけて、ドイツ・フランス・アメリカなどで、減価する貨幣をとりいれた地域通貨が発行され、成功した(p64)

・古代エジプト文明において、庶民が少ない労働時間でぜいたくな生活を楽しめたのは、諸外国との取引で使用する通貨以外に、国内取引において、小麦を担保にした減価する貨幣が使われていたからである(p70)

・政府が自分の手で(担保がないまま)直接お金を発行し始めると、お金が余ってインフレが起きて大混乱となる、軍票を発行して軍事物質の調達に支払って、戦後に紙切れとなったのと同様(p105)

・アルゼンチンの地域通貨(交換クラブ)が失敗したのは、企業間取引向けの仕組みが整備されていなかったことによる(p117)

・イタリアのLIBRAシステムでは、1週間で1%、1年間で約半分というペースで、ポイントをNPOへ支援することになる(p130)

・ドイツのREGIOでは、1ヶ月で1%減価する仕組みが採用されている(p139)

・世界貿易の10~15%に及ぶ1兆ドルの商品・サービスがお金を使うことなく、現物交換で取引されている(p168)

・1つの国全体で苦しくなった場合には通貨を切り下げられるが、国内の一地方が苦しくなった場合(西ドイツが東ドイツを合併)には、膨大な予算をかけて、その地域の立て直しが必要となる(p177)

・19~20世紀にかけて欧米、日本が植民地の拡大に熱心になったのは、販売先・仕入先を確保するのに植民地化が手っ取り早かったから(p180)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・生活・労働
感想投稿日 : 2012年9月12日
読了日 : 2009年2月7日
本棚登録日 : 2012年9月12日

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