その時歴史が動いた 14

制作 : NHK取材班 
  • KTC中央出版 (2002年6月1日発売)
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今回のエピソードの中で印象に残ったのは、信長が当時の資産であった土地及び金銀に加えて、新たに「茶道具」を加えて新たな資産を創造したということです。

材料は日本にあるもので、加工された良いものを鑑定して、それに付加価値をつけたり、さらに茶会を開催する権利までも資産として創造した点は素晴らしいと思いました。現代の日本は、世の中万事が「お金」になってきている風潮にあるので、平成の「茶道具」に相当する何かを育てることができれば良いなと思いました。

以下は気になったポイントです。

羽柴秀吉 なぞの敵前退却/賤ヶ岳の合戦・勝利の秘策

・柴田勝家としては、織田家臣団の中で、自分が優位に立つためには、織田家の血筋のつながる女性と結婚することだと考えた(p43)
・勝家は、秀吉にはない権威(室町幕府15代将軍、足利義昭)を利用=室町幕府の復興という大義名分、して秀吉の台頭を抑えこもうとした(p46)
・秀吉は、高さ3メートル土塁をが築かれた砦を、10日程で10箇所以上も築いて、徹底した持久戦にもちこんだ(p47)
・賤ヶ岳の戦いは、織田信長がかつて武田軍を殲滅した、長篠・設楽原の合戦をさらにバージョンアップしたもの(p50)
・新しい時代が生まれるというのは、自然な流れや偶然によってだけでなく、「新時代を築こう」という強烈な意識を持った人物の行動と決断による(p58)

戦国の茶人秀吉と闘う/千利休切腹の悲劇

・千利休の父は、海産物の取引や倉庫の貸付等で財をなした、堺でも指折りの商人であった(p72)
・信長が茶道具を献上させたのは、家臣への褒美として領地や金銭の代わりに効果な茶道具を与えたり、茶会を開くことを許したりして、政治に利用としたから(p75)
・堺が大名の支配を受けずに自立出来ていたのは、有力な大名がいなかったことと、濠、千人程度の浪人と、強力な鉄砲部隊があったから(p79)
・本能寺の変において、それまでの名品はほとんどが失われたので、千利休は茶道具を鑑定して新しい名品を生み出す役目を担った(p83)
・秀吉も信長同様に、土地、金銀に続く第三の宝物として、茶道具を家来に与えたり、流通機能にものせて集金機能をもたせた(p88)
・秀吉は堺の濠を埋めた後に、小田原での北条攻めにおいて、利休の愛弟子である、山上宗二を処刑した(p91)
・通貨制度は、天正大判小判(金含有率:73%)ができてから、変わった、平安中期以来の鋳造貨幣の復活(p95)
・利休の死から24年後の慶長20年(1615)に大阪夏の陣が勃発して戦火は堺にも及び、町は灰燼に帰した、堺の商人たちはもはや無力であった(p100)

前田利家の妻・まつの決断/加賀百万石・息子への教え

・小田原攻めにおいて、利家は別働隊を率いて関東北部を攻めた、激戦の中で代々の家臣の多くが命を落とした(p129)
・1600年5月に、まつは人質として家康のもとに向った、天下第二位の大大名が服従したことで、家康の勢威を著しく高めた(p147)
・関ヶ原の戦いにおいて、前田利長は家康から15万石を加増されたが、すぐに引退して領国を息子たちに分けてしまった(p147)

日本を愛したアインシュタイン・その悲劇/核兵器廃絶への願い

・相対性理論とは、「時間と空間は常に一定に存在する」という常識を覆して、「時間と空間は速度によって変化する」と考えるもの(p164)
・アインシュタインは、1922年11月に日本に到着する直前に、ノーベル賞受賞の知らせを聞いた(p167)
・ドイツでのヒトラー信者によるユダヤ人排斥運動のなかで、アイシュタインの相対性理論でさえも焼却処分になった(p175)
・原子核のようなミクロの世界では、非常に質量が小さいので、ちょっとしたエネルギーを与えると、ほとんど光の速さで運動できる(p179)
・日本降伏の2ヶ月後に、「原子力に関するいっさいの管理はアメリカ陸軍が行う」という法案が提出された(p190)

人生に絶望なし/ヘレン・ケラー、日本へのメッセージ

・ヘレン・ケラーが活躍した当時(昭和9年頃)は、 視覚障害の人は、主に琴、三弦(三味線あるいは和琴、琵琶、箏)、あるいは按摩、鍼灸の徒弟制度の中で働いていた(p217)
・ヘレン・ケラーの来日によって、中国大陸の利権をめぐって日本と対立していたので、ヘレンに仲立ちになってもらいたいと、ヘレンを招聘した岩橋は考えていた(p220)
・ヘレンは日本において障害者を支えるための募金を募った、貧困にあえぐ当時の日本において、国家公務員の平均月給が5000円の時代に、総額3000万円の寄付が集まった(p235)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史・世界史
感想投稿日 : 2012年1月27日
読了日 : 2010年4月25日
本棚登録日 : 2012年1月27日

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