世界が大切にするニッポン工場力

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  • ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010年8月11日発売)
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日本の製造業は中国や韓国に追い上げられていて、かつてのようなアドバンテージは無くなったかのように言われていることもありますが、私が思うに日本の良いところは「モノづくり」をする人達=職人を尊敬する文化があるということだと思っています。

この文化がある限り日本の強みは廃れないと希望も込めて思っています。この本では世界に通用していいる日本の工場力(技術力という言葉でなくこの言葉を使ったのが素晴らしい)について、12の実例を挙げて紹介しています。痛くない注射針で有名な岡野工業が最初に紹介されていて、その製造ノウハウの一部も紹介されていました。

以下は気になったポイントです。

・直径0.2ミリの注射針をつくるのに、厚さ50ミクロンのステンレス板を丸めて作ることを思いついた、以前に1枚の鉄の板から「鈴」を使った原理を応用した(p23)

・あえて人が嫌がる難しい仕事を選ぶ、人が敬遠する仕事なら、切られることも少なく受注も安定している(p34)

・職人の技術には特許の縛りがあるわけではない、研磨の要領がわかるとシビアなコスト競争に明け暮れる(p40)

・2個のナットのジョイント部分を凹凸にして、楔のように凹凸のナットが噛むように、下の凸ナットの先端形状を工夫してくさび効果がでるようにする(p55)

・特殊な金型と、特殊な工作機械によって、大量生産を可能にしている(p64)

・現場をよく観察する、それが創意工夫を凝らしたものづくりの原点である(p78)

・1万6000ヘルツを超える振動数がだせれば、それは超音波に近づき、人間の耳には音として感じ取れない(p97)

・経費がかかっても、社員が1から10まで作業を請け負えば、事故を未然に防ぐことができる(p148)

・アメリカは企業の大小にかかわらず、品質の良し悪しのみで評価してくれることを実感した(p149)

・アメリカ大使館に乗り込んで、紹介してもらった担当官は、アクリルパネルは、アクアウォールとしてアメリカ人のためになる水の壁であることを理解して、30分ほどの交渉で、36%の関税を2.7%に引き下げることに成功した(p151)

・食材の表面が凍結始めると、内部の未凍結部分の水の分子が表面に移動して、食材の細胞を壊してしまう(p171)

・磁気エネルギーで振動を与えて温度管理を徹底しながら冷却すると、0度を越えても食材が凍らない、温度をさらに下げると、ある時点で過冷却状態が解けて、食材は瞬時に冷凍する、水分が移動する間がなく、食材の組織を壊さずに冷凍できる(p173)

2010/11/21作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2011年8月20日
読了日 : 2010年11月21日
本棚登録日 : 2011年8月20日

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