しろいろの街の、その骨の体温の (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2015年7月7日発売)
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本棚登録 : 5666
感想 : 413
4

何箇所か特記したいシーンがあるけれどうまく言語化できる気がしない笑
まず、再開発都市の進捗に合わせて谷沢が変化していく構成は素直に楽しめた。街の開発が止まったあたりは谷沢がただのひねくれ陰キャラ少女でしかなくなる気がして不安になった。しかしそれを救った人物が2人いた。
1人目は信子だ。彼女は明らかに外見は醜いうえに嫌われる性格であろう。谷沢は表面上仲良くしながらも見下しが滲み出ていた。それにも関わらず、谷沢が信子を美しいと言ったシーンは頭がおかしいと思った笑でも言いたいことは分かるんよね。ここに向き合えたことで谷沢も街も物語が進んでいく。
2人目は伊吹。幼少期と中学の対比が見事。幸せさんとは言っても大人なところが増えてくる。最後のセックスシーンはそれこそ美しい。私自身、初めての体験の際に彼女に自分でいいのかと負い目を感じていた部分があった。だから、谷沢が好きな谷沢と結ばれようとした伊吹の美しさが眩しかった。
 白色の世界に色を付けることのできる2人。そしてそれを美しいと思える谷沢。そんな人たちに幸せになってほしい。そして自分の価値観は狭い環境に捉われていないかと考えさせてくれる作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年5月25日
読了日 : 2016年5月25日
本棚登録日 : 2016年1月14日

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