画商とギャラリスト 双方は似て非なるものなり ギャラリストはアーティストの側に寄って彼らのマネジメントするプロデューサーのような存在ならば 画商がコレクターの立場に立って活動しているブローカーや営業マンのような存在
活動スタイルとして明らかな違いはあるもののいづれも決して華やかとは言えない
足を使って色んな人と地道に関係を結んでゆくいい意味での泥臭さが感じられる
ただ やはりコンテンポラリーのマーケットは巨大でことに欧米を闘いの本舞台とし門戸が世界に向けられているのに対し 当著者が扱う洋画の業界はセカンダリー(二次市場)ならば多少の広がりは確保できるもののプライマリーともなれば国内の狭い組合の体質が色濃く残る業界内での活動に制限されている感が強い
画廊業界に根付いた良くも悪くも伝統の中にあって 当著者は狭い世界で客をとったりとられたりだの不毛な競争などつまらんことだと主張し 経済的に効率が悪くとも若いアーティストを育てることにまい進する
日本のコンテンポラリーを世界に発信するギャラリストの意識を有し 画商という古き体質の狭い世界に流動的に拡大していくための風穴を内側から開け放とうと奮起する彼女の考えには大いに賛同です
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
研究書
- 感想投稿日 : 2010年6月29日
- 読了日 : 2010年6月29日
- 本棚登録日 : 2010年6月29日
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