ゴーマニズム宣言SPECIAL 国防論

  • 小学館 (2011年8月31日発売)
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本棚登録 : 457
感想 : 63
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小林よしのりシリーズは結構好んで読んでいる。こういった話題(政治)は文章だけで読むよりは絵も入っていた方が人物イメージがより明確になると思うからだ。
タイトルは「国防」だが本書の前半は東日本大震災直後の現地取材がメイン、特に自衛隊の活動について焦点が当てられている。本書の後半では呉の海上自衛隊や高等工科学校への取材がメイン。そこから海上での実効能力、つまりアジア圏での海上国防に対する著者の考えが述べられている。
台湾論でも感じた事だが相変わらず著者の取材能力は高く、それを漫画というメディアで表現しているので小難しい話を非常に分かりやすく読めるのが特徴的だ。
自衛隊の幹部や現場の隊長のインタビュー等は他のメディアでは取り扱いが非常に雑になってしまう事が多いように感じられるので、こういったメディアで細かく取材された内容に触れられるのは貴重な体験と言える。
ただ、著者が個性的で情熱的?な語り口を使うので、冷静に読まないと取材先の意見や言葉と著者の主張がごちゃ混ぜになり、少し偏った思考を作ってしまうような気もする。
特に唐突に出てくる愛子天皇論なんかは本書の中における位置づけとしては完全に「?」な状態。それは新天皇論なりで存分にやれば良い事であって、自衛隊や国防に絡めてする話ではない。こういった部分は漫画のテンポの良さに流されず、冷静に分けて読み進める必要があると感じる。
上記のように著者の非常に個人的な特徴が出ているところもあるが、本書の全体を通してはしっかり取材された自衛官の言葉に触れているのでそういった部分で興味深い一冊で有る事は間違いない。
自衛隊の活動や考え方、特に東日本大震災における活動内容を読みやすいメディアで触れたい人には「国防」だと構えて入らずにお勧めできる一冊である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2012年8月14日
読了日 : 2012年8月10日
本棚登録日 : 2012年8月14日

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