確信犯

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年7月31日発売)
3.14
  • (4)
  • (10)
  • (34)
  • (10)
  • (0)
本棚登録 : 117
感想 : 19
3

広島で起きたある殺人事件。被告人は判決で無罪となった。
だが14年後、末期がんに冒された元被告は告白した。犯人は自分であると。
その直後、事件を担当した裁判長・末永が殺された。
嫌疑をかけられたのは被害者の息子・吉岡拓実。拓実は本当に事件を起こしてしまったのか。
裁判に関わった二人の判事・正木響子と穂積直行、そして拓実の恋人・高遠乃愛は、二つの事件に隠された驚愕の真相に翻弄されてゆく―。

初めての作家さん。なぜ読もうと思ったのかは、広島が舞台という点につきます。
なんと珍しい。そしてその点はかなり満足でした。
広島市内の八丁堀、紙屋町はもちろん、的場町や猿猴橋、向洋やローカルな川原石なんかも出てきます。
原爆ドームに新球場も出てきますし。広島っ子は間違いなく楽しめます。

内容については司法制度改革に関する主張に溢れていました。
そのあたりは丁寧に書かれていて、とても理解しやすかったです。
が、多視点で描かれているためか、物語には没頭しにくかったです。
探偵役で主人公かと思われた人物が中盤で殺されたりもして、人物にも入り込みづらかったです。
同じようなことが繰り返し書かれていたのも気になりました。
ですが後半、メインの人物が定まってからは一気読み。
その人物の人間的な成長としたたかさもよかったです。
ただミステリ的に狙ったのかな(?)、ラストのサプライズは不発でしたけど。

制度についての改革を主張する作品ということで海堂さん、そして法律がらみということで薬丸さんが思い浮かんだのですが。
このお二人がそれぞれ、エンターテイメント、ミステリとしてテーマとの融合に成功していることを考えたら、この作品はどっちつかずかなぁ、という印象。
ですがこういう問題を扱うという点は買い。
他の作品も読んでみようかなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(日本)
感想投稿日 : 2010年10月31日
読了日 : 2010年10月29日
本棚登録日 : 2010年10月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする